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魔王2


聖母からもらった魔法のアイテムがあるとはいえ、魔王の消化器官の中をそのまま進み
糞尿にまみれて魔王の尻からひりだされるのはやはり勘弁したい。この先にこの腕輪やペンダントを
上回る魔王の『罠』が存在していない保障もない。そしてなにより、このまま尻からひり出されて
奇襲をかけたとしても、果たして私は勝てるのだろうか・・・あの魔王に。消化したものをその奥に
送り込もうとひくひく動いている胃の底に視線をやりつつ、勇者は奇襲の策について冷静に
考えていた。やはり、一度転送魔法―テレポータル―でどこかの街にもどり、装備や対策を練り直そう。
行き先は・・・うん、最後に出た大都アーフェガルダでいいな。不本意ではあるがあのおっかけ僧侶と
不気味な魔法使いの力を借りてパーティ組むのもやむをえない。この憎き魔王を倒すためだ。そうと決まったら・・・

テレポータル!!

アーフェガルダの場所を想起しつつ勇者は力を込めて転送魔法を唱えた。
すると勇者の前に光の魔法陣が出来る。その魔方陣は勇者の身長ぐらいの光の柱となり、アーフェガルダまでの扉となる・・・




「もっとわらわの胃の中で、暴れてくれないと面白くないのぅ」

胃の中に勇者を収めた魔王はその余韻を楽しむために床に転がっていた。
胃の中にはまだしっかり勇者がいることを感じる。しかし、勇者が動く気配がない。
消化されまいと胃の中で暴れながら消化していく様を感じながら、オナニーしようとおもっていたのにこうなっては楽しめないではないか。

「それとも何かたくらんでいるのかのぅ・・・」

魔王はため息をつくと勇者がいる胃のあたりに白い光が集まる。

「ほう、テレポータルで逃げるつもりか・・・でも脆弱な魔法よ、こうなっては敵に逃げるのが気づかれてしまうではないか。」

テレポータルの性質を知る魔王は同時にその致命的な弱点も知っていた。それを元に魔王に一つの妙案が浮かぶ。

「まあ、直に取り込むのも悪くはないのぅ。ではまず・・・デスペラ」

魔王が唱えたのは解除魔法・・・右手に黒い光が集まり、それを白い光が集まっている胃の辺りを右手で包み込むようにして、
黒い光を当てると二つの光が中和されるように消えていった。

「もうちょっとわらわの胃の中でゆっくりしていくがいい。取り込ませるのはもうちょっと弱ってからでもよかろう・・・」




目の前にあるアーフェガルダへの扉に入るために、魔方陣の元に一歩足を踏み出した瞬間、
光の扉はそれを出している魔方陣ごと消えてしまった・・・

「嘘・・・」

今起きた現象が飲み込めずにいる勇者。

「こんなことって今までなかったはずなのに・・・」

これが魔王の解除魔法によるとも知らない勇者はそれを単純な自分の呪文のミスとした。

「ならばもう一度・・・テレポータル!!」

行き先を頭の中で浮かび上がらせ、力を込めてその呪文を唱えた。
勇者の足元に魔方陣が浮かび上がり、光の柱が・・・浮かび上がることすらなく魔方陣が消えてしまった。

「どうして・・・?」

勇者は頭の中が真っ白になった。魔王の胃の中というこれまで経験のない状況下において、
これまでに経験したことのない連続した魔法のミス。これらの材料は勇者をパニック状態に陥れるのには十分だった。

「テレポータル!」

再び呪文を唱える。今度は地面に魔方陣すら現れない。

「テレポータル!テレポータル!!テレポッータル!!!テ・レ・ポー・タ・ル!!!!」

ぐるぐるるぅと獲物を催促する胃のうめき声をかき消すような大声で勇者は呪文を唱える。
しかし、その魔法の効果はあらわれない。次第に勇者は息が切れ始める。
単純に大声を出しすぎただけではない、魔法の無茶な連発で自分の魔力も少なくなっているのだ。
本来ならそのための薬を用意しているはずなのだが、魔王に身包みをはがされてしまった以上、魔力の補給を行う方法はない。
魔力の減少以上の過酷な現実が女勇者に襲い掛かる。

ポタッ・・・ピキィ・・・・パリン・・・

ガラスの割れる音に勇者が気づいたときにはもうすでに遅し、腕輪にとろりとかかった胃液で腕輪は割れ、
勇者の足元を転がり胃液溜まりに落ちてしまった。

「どうして?!これ胃酸には大丈夫なはずじゃなかったの?!」

勇者は動揺を隠せない。
それまでペンダントと腕輪の二重の防御により阻まれていた胃液の侵攻が始まる。
勇者の頭上から無慈悲な雨が勇者の両腕に降り注ぐ。

じゅっ・・・

「熱ッ!!」

勇者は思わず身をかがめた。胃液が落ちた部分はひどい火傷にあったように黒くただれている。
この時勇者は気づいたのである、胸のペンダントの光も弱くなっていることに。

「どうして・・・!どうしてなのよ・・・!」

自分の足が触れている箇所も大きな激痛が走る。
もうこうなっては魔力の補給どころの話ではない。このままだと消化されて、自分の体で魔王の魔力を補給させかねない。

「おねがい!もうどこでもいい!!とにかく、ここから出させて!!!」

勇者は今全ての持てる力を1回の魔法にかける。これが失敗すれば、間違いなく死ぬ。
決死の覚悟をもって、呪文を唱えた!!

「テレポータル!!」




「そうかどこでもいいのか」

連続して解除魔法をかけていた魔王はついに解除魔法を止め、右手を胃のあたりから離した。
胃の辺りに現れ始めた光は次第に強くなっていく。
しかし、魔王も何もしないわけがなかった。今度は人差し指の先が黒く光る。

「では、この再転送魔法―リレポータル―と縮小魔法―ミニマナス―の複合でお主をとっておきのところに連れてってやろうかのぅ。」




胃の中の勇者、魔王の思惑知らず。
勇者の渾身の魔法でうずくまっている勇者の足元に魔方陣が現れる。
そして魔法陣は光の柱となり、勇者の体を包む。

「よかった・・・やっと成功した・・・」

勇者の目の前に現れた扉に弱弱しく手を掛け、その扉に入る・・・

「これで帰れる・・・」




扉に入ることで転送魔法は勇者の体を一筋の光に変換し、目的地めがけて突き進む。
今回は勇者は特に特定の場所を想起しなかったものの、その光は魔王の胃壁を通り抜け、
また色黒の肌をすり抜け、魔王の外界に出ることに成功した。しかし、その先に待っていたのは

黒い光を溜めた魔王の指先だった。

ピンッ

魔王は勇者が入った光を指先で弾いた。
その光は弾かれたことにより、道筋を変えられたのだ。もちろんこれは魔王の魔力によるもの。その行き先は

魔王の下腹部

ようやくの思いで魔王の体内から抜けた光は、また寄せられるかのように色黒の肌をすり抜け、
下腹部の分厚い肉を通り抜け、魔王の胎内に入っていった。

「ああん・・・」

下腹の奥に感じる違和感で魔王は小さく声を上げる。

「この様子ならちゃんと入れたようじゃな・・・」

魔王は光が貫いた下腹部を光を弾いた右手で撫でる。今度は魔力は篭っていなかった。

込めていたのは母性。

「とりあえず、おめでとうと言っておこうかのぅ・・・」




「これで・・・これで帰れる・・・!!」

光の道を抜けて、勇者が飛び出た先は

にゅぷぅ ずぶずぶ

固体とも液体ともわからぬ、粘性の高い物体に包まれた世界だった。

『?! ?!!』

勇者は事態が飲み込めなかった。
しかし、これらの物体が皮膚を焼けただれさせるようなものでもないことから、
ここが魔王の胃の中ではないことだけはわかった。
空気は自分の体を動かすことで少しだけではあるが生じる隙間から得ることができる。
とりあえず命の危険はなさそうだということを判断して、勇者は多少落ち着きを取り戻し、
周りの観察を始めた。そうまだここがどこなのかわからないのだから。
自分を包んでいる粘性の高い物体は意外に小さく、自分より3回り上ぐらいの大きさだった。
中からでもその外の様子は見ることが出来る。

薄暗く長い洞窟の中のようだった。しかし岩に包まれた洞窟のようではなく、なにやら壁がゆらゆらうごいていて、
その壁からは細いものがさらにふよふよと動いている。そして、自分を包んでいるそれは、
何かしらの流れによって一方に進んでいるのだった。

あの細いものは海草なの?ともすればここは海底の中の洞窟だろうか。それは困った。
だが、魔王の脅威はなくなった以上、少し休んでまたテレポータルで地上に出られるかもしれない。

勇者はとりあえず休むことにした。少し体を動かして、寄りかかれるぐらいの空間を作りもたれかかるようにして、眠りに付こうとした。
なぜか、気持ち良いのだ。
まるで自分の体がやさしくほぐされて、拡散していくような感じ。
目を閉じようとした瞬間、勇者の『意識に飛んできた』。

『わらわの卵の居心地はどうかのぅ?』

忘れるはずもない・・・あの声は・・・・

『魔王!・・・安心して損したわ。まだここがお前の領域だったとはね。』
『そうじゃのぅ。領域といえば領域ではあるがのぅ。』
『でも、おあいにく様。私はお前に食われて、体の一部にはならなかったわ。』
『お主、わらわの細胞に取り込まれて何を言っておるのだ?』
『?・・・だってここは海底のはず・・・じゃ』

一瞬勢いが強かった勇者の『声』が一瞬にして弱くなる。

『何を言っておる。ここはわらわの胎内じゃ。お主がどこでもいいと言ったので、わらわの卵子の中に運んでやったのじゃ。』
『嘘でしょ・・・』
『嘘ではない』

『嘘・・・』
『よいではないか。これからわらわの胎内に身を預けて、順調にいけば10月10日でお前は産まれるのだぞ。この魔王の跡継ぎとして。』
『嫌ぁぁぁぁ!!』

勇者は大声をだして泣きたかった。でも涙は出ない。自分の体が実際に溶かされていっているのだ。
実際には同化に近く、本人の意識があるまま行われ、消化液と違い痛みを伴わないため勇者は気づかなかったのだ。
そして、実際に自分の口から声が出なくなっていることにも気づいた。2人が喋っているのは一つの母子のテレパシーのようなもの。

『出して・・・出してよう・・・』
『心配せずとも、10月経てばわらわのおまんこからひり出してくれよう。』
『おねがい・・・いっそ殺して・・・』
『何をいっておる、せっかく宿った愛娘を堕ろすわけがなかろう。』
『嫌・・・お願い・・・』
『そうそう、おぬしが連発していたあの転送魔法、あれは敵に逃げるのを簡単にばれてしまう致命的な弱点が
あるから敵前で使うにはよくないぞ。それを妨害される可能性も十分あるからのぅ。
お主がわらわの胎内に宿っている間、胎教としてもっと役に立つ転送魔法を教えてやってもいいぞ。
これからが楽しみじゃ。どう育ててやろうかのう。フハハ。』
『・・・』

勇者はうつむいているしかなかった。
女の胎内の底で絶望の底にいる

そして勇者にトドメを刺すモノが現れた。
同じぐらいの背丈がある2つの細長い物体。それらはなにも言わずに勇者に絡みつく。

『な・・・何なのこれ・・・』
『これがわらわからの最初のプレゼントじゃ。魔王の遺伝子ぞ。はよう融合して、
わらわに新しいお主を見せておくれ。』
『だれが・・・こんなのと・・・』

しきりに抵抗するも、卵子との同化も半ば進んだ体では押し返すこともできず、触れている箇所から融合していく。

『いやぁ・・・入ってくる・・・』

侵食されていく勇者の体・・・そして、遺伝子は完全に勇者を取り込んだ・・・

『嫌ぁぁぁぁぁぁ・・・・・』


勇者の断末魔を聞いた魔王は立ち上がり、長い廊下を自分の寝室へと向かうため歩き始めた。
ずしん・・・ずしん・・・
魔王と勇者が融合を果たした魔王の座る椅子がある広間からは足音が響くだけ。

そして、勇者を取り込んだ魔王の卵子は長い卵管を自分を宿す子宮へと向かうために動いている。
ふわり・・・ふわり・・・
魔王と勇者が融合した卵子からは何も聞こえない。


次へ続く

テーマ:えろっち小説 - ジャンル:サブカル


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